アラブ圏にみる世界遺産

イスラム教の戒律 ラマダン

イスラム圏にはモスク(イスラム教徒の礼拝堂)やミナレット(尖塔)など、ユネスコの世界遺産に登録されているものが多く点在しています。ただしモロッコの場合、世界遺産に登録されているのはフェズ・エル・バリやマラケッシュ、古都のメクネスなど、町そのもの。これらの町ではいずれもイスラム教の生活が営まれていますから、イスラム教の生活に触れることなくモロッコの世界遺産を味わうことは難しくなります。
たとえば、モスクのミナレットからは「アル・アザーン」が1日に5回流れてきます。これはイスラム教徒に「お祈りしましょう」(アザーン。ハイヤーアッサラート)という祈りの時間を示す合図です。
旅人でもイスラム圏に長期間滞在していると、この不思議な声の響きの敬虔な気持ちになるものです。

イスラム圏を旅していると、時々「ラマダン」という行事に当たります。これはイスラム暦(ヒジュラ暦)の断食、または断食月のことです。
断食はイスラム教徒の義務のひとつで、毎年1ヵ月の間、日の出から日の入りまで食事を摂ることを禁じています。その反動で人々はラマダン最終日の日が沈むと同時に思いっきり食事をします。
ラマダンが終わった後の最初の食事を「ラマダンブレックファースト」と言い、メインのメニューは、ひよこ豆、玉ねぎ、トマトなどを羊肉または魚の出汁で煮込んだスープ「ハリラ」です。この他、串焼きのブロシェットやアラビアパン、スイーツなどが並び、まるでお祭りような大騒ぎ。街中、真夜中まで食べ物であふれかえっています。

旅人には断食の義務はありませんが、このラマダンブレックファーストは一度味わってみたいものですね。