アラブ圏にみる世界遺産

モロッコで生きる民族

現在、モロッコにはアラブ系ベルベル(BERBER)人が全体の65パーセント、先住民族のベルベル人が30パーセントを占めています。その他にユダヤ人とフランス人が少数ですが住んでいます。

ユネスコに世界遺産として登録されているメディナ(旧市街)は7世紀にモロッコに侵入したアラブ人が築いた街ですが、アラブ色のみで構成されているのではなく、各民族が混在して成り立っています。それぞれが融合しているというよりも、むしろ各々が独立して存在しているのです。
たとえば、世界遺産のひとつフェズのメディナであるフェズ・エル・バリ。世界一複雑で、迷路都市と呼ばれているこの街を新市街から王宮のあるフェズ・エル・ジュディド地区ヘ、さらにフェズ・エル・バリ地区へと進むとフェズの全体が把握できて、本来の姿がわかるでしょう。新市街からは3㎞ほどの距離ですので、街の空気に漂いながら歩いてみると楽しいですよ。

メディナへ入るには王宮からスマリン門へ入り、そこからフェズ・エル・ジュイド通りを進みますが、スマリン門へ向かう途中、王宮を左手側にすると、反対の右手側にユダヤ人街とユダヤ人墓地があることに気づくでしょう。
これはフェズに限ったことではなく、どこの街にもユダヤ人の街と墓地はあります。少数ながらも、ユダヤ人はモロッコの歴史の中で重要な存在として現在までこの地で生活しているのです。

先住民族のベルベル人も同様です。ベルベル人はモロッコ、アルジェリア、チュニジアの北西アフリカ3カ国の総称「マグレブ」の先住民です。
ベルベルという名は野蛮人を意味するバルバルスに由来しています。昔、ローマ人とアラブ人が非アラブ人を、そう呼んでいたそうです。当然のことながら、ベルベル人は自分たちをこのようには呼びません。彼らは自分たちを自由な人々を意味する「イマジゲン」と呼び、現在でも古代からの伝統や習慣を重んじながら生活しています。