アラブ圏にみる世界遺産

モロッコのイスラム教

多くの歴史的遺産は、その土地で古くから信仰されている宗教と密接な関係があります。
イスラム教は特にその傾向が強く、マラケッシュのメディナ(旧市街)はアラブ圏の多くのメディナの中で、もっともイスラム教が浸透している街と言って良いでしょう。旅人を魅了してやまないこの街の中心地ジャマ・エル・フナ広場では、イスラムの生活習慣が根付いています。
17~18世紀、現モロッコ王朝アラウィー朝によって首都に制定されたメクネスも、イスラム教が色濃く反映されている街。世界遺産であるこの古都の入り口にあるイスラム建築最高傑作のマンスール門が、その趣を物語っています。
またユネスコの世界遺産に登録されているモロッコのフェズ・エル・バリは、1000年以上も前にモロッコ初のイスラム王朝・イドリアス朝の首都となったメディナです。

モロッコの憲法では、国教はイスラム教であることが定められています。また、その最高指導者である現在の国王はイスラムの預言者、ムハンマドの直系の子孫であると言われています。
イスラム教には多くの宗派がありますが、多数のモロッコ国民に信仰されているのが正統派とも言われている「イスラム教スンニ派」。五行を守ることが義務とされ、厳しい戒律のもと、人々は規律正しく生活しています。
しかしフランスの統治下となり、モロッコに西洋文化が入るようになると規律が多少緩くなり、今ではマラケッシャやカサブランカなど大都市の、特に新市街では西洋の近代都市と同じような生活様式が見られるようになりました。

マグレブ地方では教義の戒律に従うことは個人の自由意志のようで、少数ですがキリスト教徒やユダヤ教徒も生活しています。